世田谷パブリックシアター演劇部 批評課(4日目)

午前中に、ふたり一組でインタビューの練習したじゃん。その時にわたしはお兄ちゃんと一緒になって、そう、初日にわたしが名前間違っちゃった子。や、もう間違えないよ、弟くんのほうとは今日最初にじゃんけんエクササイズもやったし、仲良しだよ。そう、で、お兄ちゃんから「普段はどんな仕事してるんですか?」って訊かれたから、最近まで実は会社員だったって答えたの。システムエンジニアしてたんだよ、って。でも、「システムエンジニア」っていう職業が何だかわかんないみたいだった(笑)。しょうがないよね、わたしも説明しようとして「銀行のATMの画面とかあるじゃない、ああいう仕組みをね、プログラム書いてつくってるような仕事」って言ったんだけど、考えてみたら中学生って銀行からお金下ろすようなことってたぶんほとんどないから、きっとわかんなかったよね……。で、会社員やめたって話をした時に「お母さんは反対しなかったんですか?」って今度は訊かれたから、おお、“お母さん”か……と思って。幸い親の反対はなく仕事やめたんだけど、中学生くらいだと親の同意がないと人生決めにくいよなーって、またしてもしみじみしちゃった。そうそう、おもしろかったのがね、夕方、ヨウコさんにインタビューし終わったあとに、ヨウコさんから中学生たちに逆に質問タイムになって。「どうして演劇ワークショップに来てるの?」「好きだから!」「これからも演劇続けるの?」「はい!」って、すっごい目がキラキラし始めて。インタビューで疲れてたとこから一気に元気になった(笑)。この子たち自分のことたくさん喋りたいし、ちゃんと喋れるんだなーって思ったの。わたしは人に自分の話はほとんどしないからさ。みんなの話聴くばっかり。だから今日、お兄ちゃんと組んでインタビュー練習する時に、久しぶりに自分のこと喋ったなあ……。人の話を聴くのは得意だよ。そういうの前は好きなんだと思ってたんだけど、好きなだけじゃなくて得意だからやれてるのかなって最近は思うね、ってそういえばヨウコさんも言ってたよね。うーん…………自分のこと、やっぱりあんまり喋りたいとは思わないかなあ…………いくら訊かれても、ねえ。なんか、喋りたくないことっていうか、それこそ墓場まで持って行くような秘密っていうの、ありすぎるから。


(落 雅季子 2015.04.01)