マンスリー・ブリコメンド(2013年12月)

12月のマンスリー・ブリコメンドです(コンセプトはこちら)。


★メンバーのプロフィールはこちら。http://d.hatena.ne.jp/bricolaq/20120930/p1


今月のブリコメンド

藤原ちから/プルサーマル・フジコ twitter:@pulfujiko

■今週末の横浜

日夏ユタカ twitter:@hinatsugurashi

鈴木励滋(すずき・れいじ) twitter:@suzurejio

カトリヒデトシ twitter:@hide_KATORI

徳永京子(とくなが・きょうこ) twitter:@k_tokunaga

落雅季子(おち・まきこ) twitter:@maki_co


■Theater ZOU-NO-HANA vol.5『象はすべてを忘れない』



西尾孔志(にしお・ひろし) twitter:@nishiohiroshi

古賀菜々絵(こが・ななえ)





今週末の横浜

12月14日(土)〜15日(日)@横浜各所


今週末の横浜は静かに熱いのでぜひ来たら楽しいと思う。以下「地球の歩き方」的な気分で紹介します。

★KAAT(神奈川芸術劇場)では、チェルフィッチュの最新作『地面と床』が、首都圏では初めての上演を迎える。「死者との外交」をテーマに、世相の不穏さを反映するような問題作になりそう。
【岡田利規インタビュー】


★KAATから歩いて数分、目と鼻の先にある象の鼻テラスでは、ままごと『象はすべてを忘れない』。上演時間という概念はなく、12時半〜17時頃までゆるやかに行われている様々なパフォーマンスやインスタレーション。いつ行って、いつ帰っても構わない。とはいえ少なくとも1時間くらいゆっくりしたほうが楽しめるだろう。まったりするつもりで行くのがオススメ。(無料、予約不要)
【柴幸男インタビュー】
【象の鼻ジャーナルvol.6】


★nitehi worksでは、悪魔のしるし『注文の夥しい料理店についての簡潔な報告』がヤバそうだ。上流席はすでに売り切れたものの、下流席・中流席はまだ予約可能。公演に向けての危口統之のノートが非常にそそるものになっている。
【注文の夥しい料理店についての簡潔な報告についての所感】

なお、KAATや象の鼻テラスのある「港湾エリア」と、nitehi worksのある「黄金町界隈」とは微妙にアクセスが悪い(早く船便とかつくってほしい)。電車だと横浜で乗り換えるか、または関内←→阪東橋を地下鉄で移動してあとは歩く。土日は直通のバスもほとんどないので、タクシーがオススメ(約10分)。おそらく1000円を超えることはないので、何人かで同乗するのがベスト。頑張れば歩いての移動も可能だ(約25〜30分)。クリスマスソングの流れる伊勢佐木町モールを歩けば横浜気分を味わえる。


本牧エリアでは、本牧アートプロジェクト2013も開催。本牧はかつて米軍に接収されたことで日本におけるジャズ発祥の地となった場所であり、三渓園などを抱える観光地でもある。ただしこちらも電車では行けないのでバスでの移動となる(実はわたしも行ったことないのでむしろ楽しみ)。石神夏希の構成・演出と岩渕貞太の振付によるツアーパフォーマンスや、FUKAIPRODUCE羽衣による街頭音楽劇のほか、前野健太友川カズキのライブなど。(追記:日曜日11時のツアーからの羽衣はギリギリハシゴが可能な模様です。ただ、のんびりと本牧を楽しみたい人は、先に羽衣を観て16時からのツアーに流れるのもいいかも。)(フジコ)





■Theater ZOU-NO-HANA vol.5『象はすべてを忘れない』

12月1日(日)、5日(木)〜8日(日)、12日(木)〜15日(日) @象の鼻テラス(日本大通り
http://www.zounohana.com/schedule/detail.php?article_id=215


今年の4月から9月まで、本作の下敷きになる作品の発表会が、象の鼻テラスで断続的におこなわれていた。象の鼻テラスというのは、横浜の海沿いにあるカフェ併設のアートスペースだ。そこでままごとの柴幸男がワークショップを開催し、できあがった作品は、テラスのなかと、目の前に広がる公園(象の鼻パーク)全体を使って上演するという。私は、都合のつくかぎりそれを観に行った。何しろままごとのメンバーは、瀬戸内国際芸術祭のために春・夏・秋会期を通して小豆島に長期滞在していたので、関東で柴幸男演出作品を観られるのは貴重だったのだ。
休日の象の鼻テラスには、普段劇場には通う習慣のない人たちがたくさんやってくる。中高生やデート中のカップルが、不意に始まった作品に遭遇して、驚いて目を輝かせたり、小さな子どもが公園を走るパフォーマを追いかけたりするのを見て、私は「演劇が人をまきこんでゆく奇跡」を目の当たりにした、と思った。
そんなわけで、今回の12月の発表に向けた公開稽古にも何度か行ってみた。ワークショップはいくつものチームに分かれて行われているようで、ラジオ番組を作っているメンバーもいれば、映画を撮っているメンバーもいた。テラスのなかには、ぬりえや折り紙も用意されている。「スイッチ」と呼ばれる装置によって起動する演劇もある。開放的な空間のなかで、演劇を偶発的に発生させるようなたくさんの仕掛けがあった。パフォーマンスのための歌も何曲か作られているようだし、特にテラスの奥にいる象のペリーくん(本物の象くらい大きなオブジェ)を使ったアイディアはすばらしかった。彼の身体に貼られているたくさんのメモ用紙に何が書かれているのかは、ぜひ観に来て確かめてほしい。
パフォーマンスが見られる時間は、12:30から16:30まで。何時に行っても何時に帰っても、楽しめる。ただし、帰るのがなごり惜しくなることは、間違いないと思うけれど。(雅季子)