6/25追記、20年安泰。

「20年安泰。」結論からいうと良くも悪くも全然安泰ではなかった。それはそれでなんとなく安心したような、不思議な印象もあります。例えば「20年安泰組」のように、彼らがひとくくりにされるようなことはたぶん今後まずないだろう。「あ、あそこに出てた団体だ!」とゆうことはショーケースだからもちろんあるだろうけど。つまりこの企画が示したのは「演劇界の若手に今、ひとつの潮流やシーンやムーブメントがある!」とゆうことではなく、「今、演劇はまったく混沌としている!」とゆう事実だとわたしは思う。そしてそれは歓迎したい事態であるような気がするのです。群雄割拠した多様なカオスが、今あるのだとすれば。


ただ、そのことを本人たちはどう受け止めたり感じたりしているのだろう? とゆうのがこの日のアフタートークのテーマだったはずなのに、残念な結果に終わった。どうして彼らは自分の言葉を語ろうとしないんだろう? 語ることがないのなら出てこなくていい、むしろ出ないほうがいいと思うんだけど(藤田くん以外の人々)。


以下、作品についての感想ですが、ネタバレとゆうほどのことはないけど、できれば観終わってから読んでほしいです。






まず、やはりバナナ学園純情乙女組「【バナ学eyes★芸劇大大大大大作戦】」が素晴らしかった! ひとりリアル女子高生(みんみん)が混じっていたが、かなりいい感じでこの世界観に溶け込んでいた。目を惹いた人たちは他にもたくさんいたのですが、それはともかく、やっぱり唖然とさせられる、ぽかーんと口を開けてしまう、地獄絵図みたいなあの世界、なんだけど、ある瞬間に、この人たち、なんでマジでこんなことに一生懸命になってんだろ、と思えて、そしたら、わっ、と涙がにじんできてしまった。すっごい我慢して抑えたけど、つまりは感動したのです。よくこれが芸劇に許容されたなあ、と思うけど、次はぜひ新国立劇場とかでやっていただきたい。そしていずれはルーブル美術館とか、スミソニアン博物館とか、エジプトのピラミッドとか、ナスカの地上絵みたいな、知的権威や人類の歴史を刻んだ場所において、ぜひあのアクトを繰り広げてほしい。それらを穢すためにではなく、我々の手に取り戻すために……これはまさしく闘争なのだ!……とかつい興奮して思うけど、しかし、あんまり気にせずバナナの人たちはガシガシやりきってほしいです。当然、役者は老いるわけだけど、新しいフレッシュな俳優の身体をとっかえひっかえ使っていく怖ろしい婆さんになるまで、20年といわず、やっていってもいいのではないか二階堂瞳子さんは。世界制覇とかの目標があればやれそう。しかし彼女はすごいと思いました。ブログに書いてあるダメ出しノートの詳細さ。ものすごく見る目と演出力と統率力がある人なんだろなと思う。もっと無数にレイヤーを重ねて異質なものを盛れそうとは思いますが。……今日はカメラを入れて記録映像を撮る日だと思いますが、芸劇の人はケチなこと言わず、6カメくらい投入してばっちり記録してほしいです(笑)。


範疇遊泳「うさ子のいえ」はとても面白かったし、こうゆうショーケースの場をああいったアイデアで押し切るのはアリだと思います。小劇場オールスターズみたいな俳優陣も素敵。ただ、ネタ的にはある時期のダウンタウンぽくはあるので、もっと(今回の演出における)俳優のキレが出てきたりしたら化けそう。熊川ふみはいっつも竹中香子にいじめられる役だとか、そうゆうドリフ的な定番を作っていってもこの人たちなら面白いかもなって思いました。ともあれ、心やさしき悪童として今後も暴れていただきたい。


ジエン社は初めて拝見したけども、「私たちの考えた移動のできなさ」はさっぱり分からなかった。いや、分からない、とゆうこともなく、ある意味ではやりたいことが分かりすぎた。頭でつくりすぎているのではないだろうか。それは、わたしが中途半端なインテリのことをあまり好きではないせいかもしれませんが、頭でつくるのだとしたら、もっと無茶苦茶に頭良くあってほしい。思想の底が浅い気がしてしまった。同時多発会話は、たしかに手法的には青年団の批判的継承だったりはするのだろうが、今の感じだと予定調和的な感じに見えてしまうし、話の中身への想像もかきたてられない。もっと何か別の要素(速度とか)を持ち込めば、カクテルパーティ的な効果や、同期する感覚は引き出せそうだけど。端的に面白くなかった。


ロロ「夏が!」はもっとやれたと思う。短編でいかに爆発的なプリズムをつくりだせるか。


マームとジプシー「帰りの合図、」はバンドみたいだった。4人で奏でる音楽。語られる詩。まだ現時点ではその言葉は書き手のものとして属しているけれども、たとえばギター、ベース、ドラムス、ボーカル、みたいに、役者たちがそれぞれ楽器をさらに自分のものにしていったら、どんな音が聞こえてくるのかな、とゆうことが楽しみ。そして、いよいよ離陸しはじめているなと思いました。Q