9/16 夢の島

朝、端田新菜嬢がままごとの劇団員になったとゆうニュースを聞いて他人事ながら嬉しくなる。「劇団員になりました!」って場合によっては「結婚しました!」に匹敵するめでたさがあるよなあと思いました。





夜は夢の島にて、ロメオ・カステリッチ×飴屋法水。カステリッチは西洋的な儀式を感じさせる荘厳なスペクタクルとしてイメージを繋げていくもの。F/Tのオープニングとしてこのスペクタクルは楽しいなあと思った。しかしただ呆然と見ているしかないような身の置き所のなさも少々あり。ペストとかで人が暗黒に死んでいくようなヨーロッパ的な教養のバックボーンがないとついていくのは困難なように思えた。少し前に都市のページェントに関する本を読んだけれども、だからこれは何らかのページェントなのだな……。たしかノムーも書いてたけど、白い旗をもってぐるっと歩いて回るあたりが壮観だった。


飴屋法水『じ め ん』はそれとはアプローチが違い、言葉による問いかけを重ねていくもので、例のでんぐり返しに象徴されるような愚直さと、コーネリアスの息子マイロ君に象徴されるようなポップさがあり。そしてブリコメンドでも書いたけども、やっぱり飴屋さんの作品は倫理的に深い地層を掘っていこうとする。だがそれは結局掘りきれなくて、変なものを召喚したり、日本列島を消滅させもする……。真摯なアプローチだし、そのスケールを、(こちらは身の置き所のなさではなく)唖然として感じさせてくれた。子供たちもすごく良かった。彼や彼女たちの無力さは、むしろここでは大きな力になっていたような気がする。くるみちゃんの前を歩いてた子が特によかったな。その子、演奏の時、すっごく楽しそうにしてたのだ。

終演後、オープニングレセプションがあっていろんな人に思いがけずお会いできて、それはそれで良かったんだけども、そのまま誰にも会わずに帰ってもよかったのかも。人と会って話していくと(それも楽しいが)感覚が薄らいでしまう。もっと伸びるはずの感性の芽が止まってしまう。そんなことがたまにある。


いずれにしても、〈観賞〉から〈体験〉へ。演劇を観るあり方も変わりつつあると思う。そして人の数だけ体験はある。おそらく1000人を超える人たちがこの夜、夢の島にいたのだ。Q