10/20 演劇は自由である

キラリ☆ふじみにて多田淳之介演出『あなた自身のためのレッスン』。清水邦夫の脚本を演出したものだけどすごくスリリングで楽しかった! 1970年でこれだけのハチャメチャなものが書かれてたんだー、と感慨深かったけれども、たしかに70年代ぽくはある。

市民社会」「市民活動」といった言葉が人口に膾炙していくのもこの頃からであり、同時に「市民」とゆう言葉へのうさんくささやアイロニーも発生したのだろう。「死民」は水俣病闘争の中で現れてきた言葉でもある。現在「市民」は、ほとんどアイロニー抜きに肯定され、ほとんど「公共」と同じような意味で捉えられがちだけれども、「死民」とゆう言葉は、日本社会が「成熟」していくことの欺瞞をクリティカルに突くものだと思う。

……とか、そういったことを思ったりもするんだけども、とにかく市民ホールであるキラリ☆ふじみがこの演目をやったこと。そしてそれを、多田淳之介が見事に(俳優たちとの協働作業で)現在に蘇らせたこと。これは本当に凄いことで、演劇史に新たな線が引かれたようにも思った。(つまり、演劇は自由なのだ!)

ちなみに伊東沙保嬢は今まで観た中でもっとも色っぽかったような気がします。



夜は麻布十番に移動して、FUKAIPRODUCE羽衣の『甘え子ちゃん太郎』。こちらも良かった。特に中盤からラストにかけてのくだりは……。今までの羽衣にはないものを感じる。ヘテロセクシャルな性愛の熱量、とゆうよりも、誰かと一緒にいること、そしてそれが叶わないことの切なさ、のようなものにより重心が置かれた感覚。糸井幸之介の描く詩情がより陰影と深みを帯びてきたような気もするのでした。


最寄り駅に帰って、近所の場末の定食屋でウーロンハイをちびちびやりながら、スターウォーズに思いを馳せていた。Q