マンスリー・ブリコメンド(2012年12月前半)

前回とうとう初めてお休みしてしまったマンスリー・ブリコメンドですが、気を取り直して、12月前半です(コンセプトはこちら)。

公演名の色について。関東ローカルなものは「青」、関西ローカルなものは「ピンク」、それ以外の地域を含むものは「紫」で表記しています。Q


★メンバーのプロフィールはこちら。http://d.hatena.ne.jp/bricolaq/20120930/p1


今回のブリコメンド

藤原ちから/プルサーマル・フジコ twitter:@pulfujiko

日夏ユタカ(ひなつ・ゆたか) twitter:@hinatsugurashi

鈴木励滋(すずき・れいじ) twitter:@suzurejio

カトリヒデトシ twitter:@hide_KATORI

徳永京子(とくなが・きょうこ) twitter:@k_tokunaga

★ステージ・チョイス!(徳永京子オススメステージ情報)
http://www.next-choice.com/data/?p=11130


西尾孔志(にしお・ひろし) twitter:@nishiohiroshi

■企画演劇集団ボクラ団義『忍ぶ阿呆に死ぬ阿呆』


落雅季子(おち・まきこ) twitter:@maki_co

珍しいキノコ舞踊団『動物の○』
東京芸術劇場・テルアビブ市立カメリ・シアター国際共同制作 蜷川幸雄演出『トロイアの女たち』


古賀菜々絵(こが・ななえ)

渋谷慶一郎岡田利規 新作オペラ公演『THE END』







渋谷慶一郎岡田利規 新作オペラ公演『THE END』

12月1日(土)〜12月3日(月)@山口情報芸術センター[YCAM]スタジオA(JR山口線山口駅、もしくは湯田温泉駅http://www.ycam.jp/performingarts/2012/12/the-end.html

これはもう、四の五の言わず観に行くべき作品だ。出演者は音楽家渋谷慶一郎ボーカロイド初音ミク、そしてこの作品の制作に携わるアーティスト陣は、渋谷氏の他、演出家の岡田利規、映像作家のYKBX a.k.a Masaki Yokobe、建築家の重松象平、サウンド・アーティストのevala、コンポーザー(作曲家)のピノキオP、etc...と、とかく各々の分野の前線で世界を股にかけて活躍している方ばかりだ。この豪華な布陣による共同制作のオペラなんて、四の五の言わずにお勧めしてしまう!
因みに本公演は4ステージ・3日間の上演(うち1ステージはプレス向け公演)となっているが、元々は2ステージ・2日間の上演予定だった。それが、チケットは本番一カ月前に完売し、追加公演も1ステージ用意されては発売2日で即売り切れとなる盛況ぶり。出るかどうか分からない当日券をもしかして手にすることができるかもしれない唯一のチャンスが残されているのは、2日19時の回のみだと言う。しかし当日券が出ないこともあるらしい。
前売り券を持たず当日券も逃してしまった方には、現在『Making of "THE END"』が山口情報芸術センター(以下、YCAM)のホワイエで、来年の1月7日まで毎日(10:00〜19:00)開催されているので、そこで作品の片鱗には触れることが出来るようだ。本編を観れない方にとっては慰めにしかならないか、かえって悔しさが煮えたぎってしまうかもしれない。つまり、それほどまでに魅力の詰まった作品なのだ。そんな作品を企画制作するYCAMもまた、素晴らしい。(古賀)




企画演劇集団ボクラ団義『忍ぶ阿呆に死ぬ阿呆』

12月7日(金)〜9日(日)@芸術創造館(大阪・千林大宮 HYPERLINK "http://www.bokudan.com/news/vol11/" http://www.bokudan.com/news/vol11/

まったくもって最近の僕は《みるみる詐欺》だ。あれやこれやと観に行く予定を立て、先方にも「観に行くでぇ(関西弁)」と伝え、それでいながら直前に急用が出来て行けなくなってしまう。いや、行く気はあるし、観なかったことを後悔しているのだから詐欺ではないが、それでも最近ちょっと酷い。それを反省して、前回のブリコメンドは休んでしまった。
今回、この舞台は《みるみる詐欺》にはならないだろうという事で書かせてもらうのが「企画演劇集団ボクラ団義」。私が未だ観ぬこの劇団の名を知る事となったのは、とある人から「脚本が凄くよく書けているエンタメ劇団がある」と聞いたからで、それは今の僕にとって魔法の言葉のように響くのだ。
「脚本がよく書けている。」
結構重要な事なのだが、若い感性の尖った演劇の人ほど、この「脚本がよく書けている」という事をどこかで軽視している気がする。王道の娯楽作のシナリオを書くのは、奇抜で独創性のある物語を書くのと同様に、いや、時にそれ以上に難しいはずである。そしてもちろん、私が今一番関心を持ってるのが「王道」なのである。もっと本音を言えば「勉強したい!」のである。だから、どんな話か下調べもせず、誰かが言った「脚本がよく書けている」というひと言に惹かれて、いそいそと出かける予定である。(西尾)



珍しいキノコ舞踊団『動物の○』

12月8日(土)〜16日(日)@VACANT(原宿)http://www.strangekinoko.com/

7月のプレ公演を経て、いよいよ本公演。VACANTというフリースペースの中で、彼女たちのダンスをより近くで感じられるのが今から楽しみです。珍しいキノコ舞踊団を観た帰りは、つい踊るような足取りでショーウインドウに映る自分の姿と一緒に、こっそりステップを踏んでみたくなる。自分も彼女たちみたいに、しなやかに大地を蹴って体を回転させて、ふんわり着地できそうな気がするから。彼女たちがカラフルにデフォルメして見せてくれる身体は、私の生活とも地続きの場所にあると思えるから。凝り固まったつまらない日常を洗い流して、踊ることの非日常性と祭儀性をきらりと光らせる。それが珍しいキノコ舞踊団。ちなみにここのTシャツはとても可愛いので、今度新しいのが出ていたらまた買ってしまうだろうなあ。(落)




東京芸術劇場・テルアビブ市立カメリ・シアター国際共同制作 蜷川幸雄演出『トロイアの女たち』

12月11日(火)〜12月20日(木)@東京芸術劇場(池袋)http://www.geigeki.jp/performance/theater008/

「世界のニナガワが挑む、最も過激な国際プロジェクト」と、公演の宣伝チラシには銘打たれている。白石加代子和央ようかが、イスラエルユダヤ系、アラブ系の俳優とともに出演するギリシャ悲劇で、俳優はそれぞれの母語で台詞を話し、日本語字幕がつく上演形式とのこと。この時点で「観客が本作を観に行く行為」と「中東の戦争の歴史を意識すること」が、非常に近しい場所に置かれることになるのがわかる。上演の外郭に巡らされた重たい現実が作品を覆っていて、観客が純粋に『トロイアの女たち』の物語を楽しむために劇場に行くことはできないと言っていい。イスラエルパレスチナの関係がかつてなく悪化している今、この作品を観ることが現実を知って引き受けることになる覚悟を、私たちは持てるだろうか。
この作品を日本で上演することについては、岩城京子さんが書かれた「芸術の自立と当事者性」という記事がFaceBookページに掲載されているので、どうか読んで頂きたい。彼女の抱く問いを知って私はますます、この作品の傍観者でいてはならないのではないかという思いを強くしている。(落)
https://www.facebook.com/pages/%E3%83%88%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%81%AE%E5%A5%B3%E3%81%9F%E3%81%A1/520852164608726?fref=ts