マンスリー・ブリコメンド(2013年2月)

2月のマンスリー・ブリコメンドです(コンセプトはこちら)。Q


★メンバーのプロフィールはこちら。http://d.hatena.ne.jp/bricolaq/20120930/p1


今月のブリコメンド

鈴木励滋(すずき・れいじ) twitter:@suzurejio

■DANCE TRUCK PROJECT vol.2


カトリヒデトシ twitter:@hide_KATORI

徳永京子(とくなが・きょうこ) twitter:@k_tokunaga

★ステージ・チョイス!(徳永京子オススメステージ情報)
http://www.next-choice.com/data/?p=11307


西尾孔志(にしお・ひろし) twitter:@nishiohiroshi

落雅季子(おち・まきこ) twitter:@maki_co

■あひるなんちゃら『ギプス不動産』



古賀菜々絵(こが・ななえ)







FUKAIPRODUCE羽衣『サロメVSヨカナーン

2月1日(金)〜11日(月・祝)@東京芸術劇場 シアターイースト(池袋)http://www.fukaiproduce-hagoromo.net/

FUKAIPRODUCE羽衣は、『耳のトンネル』で見事「CoRich舞台芸術まつり!2012春」グランプリを受賞。さらに『浴槽船』で15分の動画コンテスト「クォータースターコンテスト」グランプリを受賞するなど、明らかに今勢いに乗っているはずの劇団……なのだが、不思議と「今が旬!」みたいな感じともちょっと違っていて、そもそもその作風にはどことなく良い意味での場末感(?)が漂っているし、このまま変わらず歳をとっていずれは(全ての人間がそうであるように)朽ち果てていくのだろうな、そしてわたしもそうやって一緒に歳をとって老いていきたいな、と思わせるような何かが彼らにはあるのだった。それは羽衣が、永劫回帰的に繰り返される男女の性愛(そして生死)を、その作品の中で扱い続けてきたことともおそらく無縁ではなく、短期的な成功よりももっと大事な時間の流れを感じているせいではないか、とも思うのですな……。

原案はオスカー・ワイルドの戯曲でよく知られている『サロメ』。恋をした預言者カナーンが自分の思いを聞き届けてくれないので、王に命じてその首を切り、口づけするという物語である。昨年刊行された平野啓一郎による新訳(光文社古典新訳文庫)ではそれまでの官能的な悪女のイメージから一転、清純な少女としての姿を強調していたのが記憶に新しい。要するに、話の筋はシンプルだけど、多様な解釈が可能な物語なのだと思う。さて、では今作の脚色・演出・音楽の糸井幸之介は、あの血塗られた物語から何をインスパイアされ、それをどのように舞台化するのか。もしかするとこの原案の刺戟によって、新たな羽衣のポテンシャルが引き出されるのではないか、とも密かに期待しています。彼らにとっても、サロメやヨカナーンの存在は、異物であると思うので。
キャストには羽衣の「妙ージカル」を支えてきた常連メンバーはもちろん、バナナ学園純情乙女組ブルマー姿で謎の動きをするあの娘)や範宙遊泳でもトリックプレイを見せてきた浅川千絵や、快快出身でぐんぐん舞台経験を積んでいる中林舞、さらには歌人枡野浩一らも登場する。(フジコ)




東葛スポーツ『ドッグヴィル

2月7日(木)〜11日(月・祝)@3331 1Fコミュニティスペース(末広町ほか)http://www.tokatsusports.com/

東葛スポーツは前作『ビート・ジェネレーション』が劇評サイト「wonderland」のクロスレビュー挑戦編にエントリーされていて、それで批評をしてほしいって呼ばれて観に行ったのだが、内容は完全に「勝手に深読みとかしちゃうタイプのエセ批評家」をディスるもので、おいおいそれ喧嘩売ってんのか、この芝居に批評する立場として呼ばれるのとかマジいたたまれないなあー、とか思いながらもめちゃんこ可笑しくて痛快だったのでつい最高点の★★★★★を付けてしまった。「wonderland」でわたしが他に★★★★★を付けたのはサンプル『自慢の息子』とロロ『父母姉僕弟君』だけで、だから「つい」といってもけっしていい加減に付けたわけではなくそれなりの覚悟があった。つまりはこのデタラメな舞台の根底に流れていると感じた、まがまがしいほどの絶望、達観、強さ、アイロニー、ユーモア、などなどに惹かれたのだった。というかごく単純に言って、演劇でここまでラップ文化を(そのアイロニカルな精神面も含めて)見事に取り入れた例をわたしは他に知らない。「オレたちひょうきん族」最終回の映像が流れるあのラストシーンの謎の感動は一体なんだったのかと未だに考えることがある。

ところで2年前の大震災以後、芸術はどんどんシリアスにならざるをえないし、なんらかの絶望や諦観を含んでいかざるをえないし、そしてそのことは不可避の流れであると同時にけっして悪いことではない、むしろその体温の低さを歓迎したい、とすらわたしは思っているのだが、とはいえ一方で、そうしたシリアスな状況をアンテナとして感受しながらも、抜け抜けとデタラメなことをやってしまえる人たちがいることは希望であると思う。そうした知性もまた存在するのだし、世の中がきなくさくなればなるほどその才能は重要になっていくだろう。今回も、前作に引き続き登場する(チェルフィッチュでお馴染み)佐々木幸子や松村翔子の、あの人を食ったような感じがまた炸裂することに期待。と言いながらも、最近世間様で一気にブレイク気味の森翔太の、いつでも僕は不発できます、不発する準備は完全にOKでーす、みたいないわく言い難いあの感じもまたたまらなく愛しいのだが。
ちなみに『ドッグヴィル』といえばラース・フォントリアー監督のあの映画を思い起こすわけですが、もうほんとに吐き気がして途中で観るのやめたかったくらいわたしにとって史上最悪の映画。それだけ凄い作品でもあったわけだけど。(フジコ)





Q『いのちのちQ』

2月8日(金)〜11日(月・祝)@さくらWORKS(関内)http://qchan9696.web.fc2.com/

12月の『虫』再演では多くの見巧者たちをムムウと唸らせたQ。早くも新作をひっさげて登場する。

おそらく今作『いのちのちQ』では、『プール』や『地下鉄』に見られたような、その口調がついつい耳に残ってしまう、あの感染力の強い奇妙なグルーヴ感がまたもや炸裂するだろう。それだけでも十二分に楽しみなのだが、主宰の市原佐都子(作・演出)にはその言語センスがあるのみならず、特殊な思想というか世界観があって、むしろそれが現時点でのQの最強の魅力かなって感じる。彼女が描くのは、小さな日常でも大きな歴史でもない。いうなれば、サバンナ……。


小さくもなければ大きくもない、謎のスケールを持ったこの野蛮で可愛い世界では、人間がふだん社会的な常識として身につけさせられているような態度やら思考回路やらは宙吊りにされ、もっと原初的なニンゲンとしてのアイデンティティ、欲望、そして他人とのありうべき関係性が思い出されてくる。ニンゲンは人間である前に、まず動物っていうか生命だったのだと気づかされる。

おそらくQ=市原佐都子は、ニンゲンがこの世界に存在してしまっていることを彼女なりのやり方で肯定しているのだ。それは無邪気な多幸感とは程遠いもので、むしろ悪態にまみれているし、暗くて非道な出来事もしばしば起こってしまう。ニンゲンを見つめる彼女の目つきは、まるでイヌを見つめるように冷静かつ冷徹であり、たぶんある種の諦観がベースにもなっているのだろう。登場人物たちは「さよなら」と言い放ち、「忘れてください」と言って他人から遠ざかっていく。ほとんど他人に興味がないようにも見える。実際、興味がないんだろうと思う。だけど、見ている。観察はしている。時には見つめたり、見送ったりもする。声をかけることもある。他人をすっかり拒絶しているわけでもないことは、処女作であった『虫』のラストシーンにも示されていた。Qの舞台には、それでも日々を生きていくニンゲンたちを肯定する強いモチベーションの存在を感じる。ベタベタしなくても、たくさんの別れを経験しても、気持ちが届かなくても、孤独でも、てゆうかみんな孤独だし、生きるってそうゆうことだし、それでもニンゲンは幸福な気持ちになれるよ、わりとたくましいし大丈夫だよっていう……。そんな「悲しいハッピー」がいつもあるような気がする。


さて、今作は、横浜関内にある「さくらWORKS」に新設されたスペースで初めて上演される演劇作品でもある。TPAM(舞台芸術ミーティングin横浜)期間中、他の公演会場へのアクセスも抜群によいので、こちらの地図を参考にハシゴや横浜散策も楽しいかと。少し横浜観光ガイド的なことを書いておくと、さくらWORKSのすぐ下にある「山田ホームレストラン」はなかなか渋い食堂で、たぶん自家製のポテトサラダが美味いです。関内駅の反対側、吉田町のタイ料理屋ピーも抜群に美味い。このあたりの異国コミュニティぶりも体験できます。野毛の飲食街や、大岡川沿いの都橋商店街へも余裕で歩けるので、呑み助のみなさんはそのあたりを冷やかしにいくのもいいでしょうね。もちろん中華街も目と鼻の先です。いわゆるふつうにデートをしたい方は山下公園や赤レンガもどうぞ。船も乗れるよ。さらにディープ横浜を体感したい人はちょっと歩くけど、競馬帰りのおじさんたちでひしめく伊勢佐木町を抜けて黄金町や横浜橋商店街、あるいは日本三大ドヤ街のひとつ・寿町まで。

通常のチケット予約は劇団サイトから。TPAMパスを持っている人はこちらのフォームから予約できるようです。(フジコ)






DANCE TRUCK PROJECT vol.2

2月14日(木)〜16日(土)@KAAT周辺各会場(日本大通り全日程とも オープン17:45 スタート17:55
各日、開催場所/出演者が異なるのでご注意!

http://dance-truck.jp/2013/

14日 @開港広場(日本大通り
きたまり、白井 剛、ほうほう堂、向 雲太郎
15日 @象の鼻パーク(日本大通り
神村 恵、鈴木ユキオ、田中恵美理、白井 剛&東野祥子
16日 @KAAT神奈川芸術劇場日本大通り
白井 剛、東野祥子、FUKAIPRODUCE羽衣

TPAMで横浜にいるならもちろん、デートで横浜にいるんだとしても、ぜひ立ち寄るのをお薦めしたいのがこの企画。無料だし。というか、街にトラックが停まっていて、その荷台でパフォーマンスが繰り広げられるので、まぁ見えてしまうわけなのだ。昨秋のvol.1では、港のはずれ新港埠頭だったのだけれど、今回はさらに街なかにトラックはやってくる。すこしトラックは小さくなるようだが、特設会場として仕切られたスペースでの前回公演に比して、断然偶然の目撃者は増えるはずで、おなじく横浜で公演を重ねてきている「ダンス界隈」みたいに、うっかりとダンスに出会ってしまう人がいると考えるだけで愉しい気持ちになる。
14日はダンスの多様さを感じられるだろうし、15日は奥行きに唸ることになるんじゃないか。でもでもダンスって…な方たちには16日がお薦め! 演劇界から羽衣が名作『果物夜曲』をひっさげ て参戦するし、東野祥子が響かなければ、もうダンスは観なくてもいいと思う。世の中には観るものはいろいろあるわけだから。
バレンタインデートのカップルは、ほうほう堂のチャーミングさや白井剛の美しさにつれ合いが見惚れるのを妬くのも一興だが、きたまりと雲太郎を観て感想を言い合って、互いの趣味の合わなさが露呈するのであれば、この先を考え直すいい機会となるのではなかろうか。(励滋)




岡崎藝術座『隣人ジミーの不在』

2月17日(日)〜18日(月)@横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール(馬車道http://okazaki.nobody.jp/

2012年、観てよかった、と思える素晴らしい作品はいくつかあったわけですが、中でも、いやとりわけ、岡崎藝術座『隣人ジミーの不在』(初演)は強烈な印象をわたしに残していて、未だにあの作品の全貌を受け止めきれないでいる。ところが幸いにも、というか、なんとこんなにも早く、再演が観られるとは! 嬉しい。しかも今回はあのラストシーン(つまりは結論?)が変更されているらしい。一体どんなふうになるのか。心待ちにしている。

この作品は様々な豊かな魅力に溢れているけれど、やはりなんといっても、伝えたいメッセージとパッションが根っこにある、ということが大きいと思う。「wonderland」に作・演出の神里雄大が寄稿した文章に、この作品が誕生するまでの経緯について書かれているので、ぜひそれを読んでください(ネタバレの心配は無用です)。
http://www.wonderlands.jp/archives/22940/

3人の俳優(山縣太一、稲継美保、武谷公雄)は、おそらく今回も素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるだろう。寂寞としていて、それでいてカラフルで、スタイリッシュで、だけど場末感(!)溢れるユーモアとアイロニーに充ち満ちた舞台。演劇が「人間と共にある芸術」であることをまざまざと感じさせてくれる作品だと思う。ただもしかすると、これまでの数十年で培われてきた日本の小劇場演劇のコンテクスト(文脈、あるいは色眼鏡)をはずして虚心坦懐に観る必要があるのかもしれない。
というのも神里雄大と岡崎藝術座は今、「日本人」にとって未知なる存在にコンタクトをとろうとしているのだから。ひとつにはそれは「アジア」という、隣人であり、かつ日本を含むはずのカテゴリーでありながら、ほとんど無視されてきた異質な他者の存在である。そしてもうひとつは、何かを線引きしてカテゴライズしていくような、一般的・常識的な認識手法では取り逃してしまうような、(喩えていうならあたかもジュラ紀の始祖鳥とかを想起させるような)原初のイメージ、球体、生命、そして世界、である。このスケールと想像力がどこまでひろがっていくのかわたしにはちょっとわからない。だけどきっとそうした未知なるものをたぐりよせることこそが、芸術というものに託された力であり使命なのだと思う。

高校生以下は無料。学生料金もあり。TPAMパスでちょっとお安くなります。特に若い人に、この薄氷の世界に漂う緊張感とユーモアを体感してほしいです。あるいはもしあなたが、生きるのがつらい、苦しい、いっそ死んでしまいたい、いや死のう、とか考えて悶々としていたとしたら、わずか3000円前後の観劇料で何か道がひらけるかもしれないので、まずはぜひこの作品を観てほしいと思います。(フジコ)







番外編・横浜の地図から見るTPAMハシゴの手引き

毎年、楽しみ方が複雑でよく分からないとの声が聞かれるTPAM(国際舞台芸術ミーティングin横浜)。「TPAMとは?」にあるように舞台芸術に関するプロを客層としてまず想定しているので、ふつうに舞台を観たいよ、って人にはちょっとハードルが高い(高すぎる?)仕様になってます。

で、「幾つかハシゴしたいんだけどそれってできます?」みたいな質問を個人的に何件かもらったので、やっぱり結構困ってる人多いのかもなーと思いました。正直わたしも、こういう仕事をしてなかったり、横浜在住でなかったりしたら、まあ別にめんどいし今回は見なくてもいっか、みたいになっちゃうかもしれない。というわけでここでは、「横浜の地図からTPAMを把握する」ことをコンセプトに、多少のガイドを試みたいと思います。せっかく素晴らしい作品との出会いがあるかもしれないのに、わかりにくいからやーめた、みたいになったら悲しいので。まずは以下をご覧ください。


▼TPAM関係施設のMAP
http://www.tpam.or.jp/access/
青字になっているのが公演会場です。


基本的には、みなとみらい線馬車道」駅に直結しているヨコハマ創造都市センター(YCC)を拠点として考えるのが良いと思います。TPAMパスも確かここで受け取れるはず。ここから見て……

■北方・港湾エリア赤レンガ倉庫、BankArt

■東方・関内エリア(最寄り駅は「日本大通り」駅)KAAT、開港広場、象の鼻テラス、さくらWORKS

■南方・野毛エリア(最寄り駅はJR「桜木町」駅)のげシャーレ(にぎわい座)、AFR Yokohama

■欄外・黄金町エリア(最寄り駅は京急線「黄金町」駅)nitehi works

です。頑張れば全て歩ける距離ですが、タクシーを使う手も。
何人かで乗り合わせることができればだいぶ安く済みますね。



▼例:最初の3連休のハシゴの場合
ところで、特に最初の3連休(2月9日〜11日)に関しては、JRとブルーライン「関内」駅を起点に考えると徒歩によるハシゴをよりイメージしやすいと思います。関内駅から見て……(時間はあくまで目安です)

■さくらWORKSは北に徒歩3分。
■象の鼻テラスは北に徒歩13分。
■KAATは北東に徒歩15分。
■のげシャーレとAFR Yokohamaは西に徒歩10分。
■nitehi worksは南西に徒歩15分。(伊勢佐木モールを直進、のち1本右に入る)


問題はタクシーを使ったのに、運転手さんが目的地を知らない場合(その可能性は高い)。

■さくらWORKS「関内大通りの1本東の関内さくら通りのセブンイレブン」→できれば地図見せつつ
「山田ホームレストラン」→さすがに無理かも
関内駅のちょっと北、スタジアム寄り」
さいあく「ブルーライン関内駅

■のげシャーレ、AFR Yokohama「にぎわい座」
桜木町駅から野毛にちょっと入ったあたり」
「野毛の場外馬券売り場」→知らなかったら金払わずに降りていいレベル

■nitehi works「黄金町シネマジャック&ベティ」
大岡川沿い、黄金橋末吉橋のあいだのガソリンスタンド」
「伊勢佐木モールの先の青江三奈の像」

とか言えば近くまで行けるはず。
まあ基本的には、スマートホンの地図を見せるか、あらかじめプリントアウトしておいたほうがいいですね。詳細は各劇団や劇場のMAPで。


なおタイムスケジュールについては、TPAMウェブサイトの右上にある「タイムテーブル」という項目でおおよその目安の上演時間を知ることができます。残念ながらiPhoneiPadでは見られないようなので、あらかじめPCなどでご確認を。対応されたようです。見られます。


横浜は個性的な飲食店も多いので、ぜひ観劇ついでに楽しんでください。そしてなにより良い作品と出会えますように。では。(フジコ)






あひるなんちゃら『ギプス不動産』

2月27日(水)〜3月3日(日)@下北沢駅前劇場(下北沢)
http://www.ahirunanchara.com/index.html

残業ばかりで、好きな芝居のこともあまり考えられない日が続いたある夜のこと、ため息をつきながら私は思いました。疲れた私には、あひるなんちゃらの芝居が必要だ、と。あひるなんちゃらこそが、私に真のリフレッシュをもたらしてくれる、と。
彼らの芝居は、常識人に訪れる突然の非日常ではなく、非常識な人のゆるい日常。だからまるで力みがないのに、メーター振り切ってぶっ壊れている。あひるなんちゃらの作品を観たことがなくても、裏に出演者紹介やストーリーについて書き連ねたチラシを見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。細かい文字でびっしり書かれた折込チラシを読んでいる間に時間が過ぎて、そのとき観に来たはずの芝居のパンフレットに目を通さないまま開演しちゃったなんてこともありました。やられた。罠にはまった。
看板女優だった黒岩三佳さんが昨年退団されましたが、あひるなんちゃらがこの世にある限り、謎の充足感をもたらしてくれる駄弁ワールドはきっと変わらないでしょう。
ちなみに今作は第23回下北沢演劇祭半分参加作品とのこと。ん、半分ってどういうこと?と思いましたが、日程的に半分しか掛かっていないという意味らしいです。そんなのありなんだ…。まったくさすが、としか言いようがない。(落)