8/17 夢と「裏切り」について

王子小劇場AnK『ペロン』。実はブリコメンドで「冒険枠」として推してみようかなと思いつつ、さすがに一度も観てないのに推すのはマズいよなと見送ったのですがこれなら推してよかったなあ。と思えるくらいの収穫感はありました。俳優もすごく良かった。ただ初日とあっていろいろ調節できていなかったのが致命的だったかも。あとアフタートークでロロの三浦くんが言ってたように、最初のアレで最後まで押してもよかった気もするけどそれだとまんまロロになっちゃうよね。そして、懐古を描くことは構わないけれども、ここから出ていくのはなかなか大変だぞ、とも思う。とにかくいろいろデタラメ感のあるのは良かった。ただカラ騒ぎしているわけではなくて、シミュラークル化以後の生についての真摯さを感じた。


終演後、カプカプのおじさんこと励滋さんとひさびさゆっくりしみじみと飲めて良かった。王子には良い飲み屋がいろいろあるね。




そして寝て起きて、これは半分寝ぼけたまま書いてます。以下はさっき見た夢についてメモ。


ある野営キャンプのような場所で、防人の男が、遠くに一定間隔で銃を撃っている。狼への威嚇射撃らしい。実際撃っているのかもしれない。わたしの役目はその男が寝ないように見張ること。うっかりしていたら狼に銃を奪われそうになり、手を噛まれた。痛くはなかった。  ……どうもそのあたり一帯は森のようで、森の中には低所得層のボロアパートと高級住宅街とが隣接して存在し、さらには芸術都市のようにもなっている。その一角にある建物で秘密裏にプロジェクトが進行している。そこに海外からVIPがやってきて、なぜかカタコトの英語でわたしがそのプロジェクトの状況を説明した。空調が壊れているのか、クーラーが異様に寒かった。  ……一連のことが終わると商店街へと案内された。そこはわたしが幼少の頃よく遊んでいた場所で、しかし実際今は道路の拡張によってほとんどの店が建物ごと撤去されてしまっている。夢の中ではその町はまだ生きていた。


特になんということもない夢だけども起きたら寝汗をぐっしょりかいていて、寒いどころか暑くて脱水症状になりかけていたのでお茶を飲んだ。昨日張ってあった水風呂にざぶんと入った。夢の意味はよく分からないが(意味なんてないだろうが)、その残滓の感覚は、孤独さ、を訴えていたような気がする。これは解釈ではなくて感触によるものである。孤独から何かが始まるような気が最近はしている。わたしが例えばスナックちからをはじめとして様々な形でつくろうとしているネットワークは、寂しさをまぎらわすためのものではなく、孤独に生きていくためのものだとも思う。そこにはぽっかり穴が開いている。ある種の人たちはそれを信仰や宗教で埋めようとするだろう。わたしはそうできない無神論的人間なので、別のものを求める。ついでにいうと、それは恋愛とも違うかもしれない。

で、起き抜けに思ったこと。どこにも所属することのない(できない)人間は、その便利さや目新しさゆえに一時的に多少は重宝されるかもしれないが、結局「村」からは排除され、「村人」として認められることはないだろう。例えばわたしは生粋のE人ではない。そんじょそこらのE人よりEのことを考えていると思うけど、E人にとってはE人であることが重要だったりする。アイデンティティは怖ろしい。そこにしがみついて生きている人たちがいる。それは時代錯誤の悪い人だとわたしは思うが、彼らも必死なので石を投げてきたりするだろうし、実際、石に当たったらそれなりに痛い。わたしはそんなやつら滅びてしまえと思う一方で、その気持ちも分からないではないし(同情は禁物だが)、きっと化石のような悪いE人はしぶとく残るので、結局のところわたしがE村に所属することはないだろう。

村のことはどうでもいいのだが(村そのものはいつか滅ぶのだし)、問題は、信頼している人からも裏切られたその時である。これは辛いことだけれども過去の経験からすればそうしたことはありうる。人間はわりと自分勝手にしか生きられないものだし、異なる人間同士が接触する以上、意図せざる「裏切り」はいつ起こるとも知れない。あるいはわたし自身も誰かを裏切ってきたかもしれない。いや、事実、裏切ってきたのだ。そうしようと思ってしたわけではないにしても、結果的に相手から見ればそれは「裏切り」にも見えただろう。それを思うと胸が痛むし、翻ってみればそうした傷はわたしの中にも無数にある。

だけどもう後戻りはできないのだし、ここから先の未知の世界に行くしかない。今は仲間がいてくれているし、信頼している。でも「裏切り」はいつか発生するだろう。それを誰かのせいにしていくことはたやすい。そこから人間不信がはじまる。でもそうではないのだ。そうではないのだ……。そのことを今は考えたい。受け止めたいと思う。信じるとは何か? 人生において何が起こりうるのか? それは何度でも繰り返される。たぶん、気付かないかぎり、何度でも繰り返されて、しかし残念なことに(?)それは無限回繰り返されるわけではなく、いのちが燃え尽きたら死んでしまうのだ。それはそれで人生だと思う。よく生きた、と言えるだろう。でもわたしはその繰り返しの中で、気付きたい。別に真理とかではないと思う。でも、何かある。陰謀でもない。でも何かある。そのことを見つめたいのだ。これは欲望だ。何かわたしの中で精神の軸足のようなものが変わりつつある気がする。もう少し涼しくなったらたくさん本を読みたい。よしおさんから出された宿題もある。それをやる時が近づいてきたと感じる。Q