9/18 おしまいのとき

下北沢kate coffeeでお昼を食べる。そしてスズナリでポツドール『おしまいのとき』。素晴らしかった。これを書くと(誰かに)怒られそうだけれども、今まで観た三浦大輔作品の中でいちばん好きかもしんない。『裏切りの街』や『ザ・シェイプ・オブ・シングス』のモチーフも使いつつ、やっぱりポツドールでなければやれないところまで突き進んでいたし、だからこそ描けるものもあった。

あと「シアターガイド」10月号のインタビューで聞いてた、「リアルにはこだわらない」とか「理屈にこだわる」といったあたりも、なるほどこうやってきたかと腑に落ちるところがあり。しかし予想していたよりもはるかに風通しがよく、終始ワクワクして観ていた。




終演後、開かずの踏切のところでミスターシモヘイに会ったら、スズナリ裏の教会でこれからシークレットガーデンがあるんだよ、と言うので付いていった。確かに楽しそうだ。が、蚊にくわれたのと、ポツドール観た直後にこのロハス感はちょっと無理だなと思い、早々においとまして、イーハトーボへ。


ここで仕事をがっつりやるつもりだったのだが、どうも調子が出ない。ぼんやりしていると、店主の今沢さんが、1時間くらい付き合ってくんねえか、というので今日はもうアカンなと思ってその場でビールを飲んだ。えんえんと、話す。まあ大体、映画や現代思想や男や女にまつわるとりとめのない話だ。タルコフスキー黒澤明、寅さん、阿佐田哲也ゴダール、鬼太郎、鶴見俊輔、など。今のわたしにとってはかなり大事な話だった。

大体、今沢さんの思想の中心にあるのは「無理」とか「必然性」といったことで、これは一歩間違えると運命論やニヒリズムに陥りかねないのだが、この思想がなければきっと34年間この店を維持してくることはできなかっただろう。「まあ無理と分かってはいるんですけど、わたしの年齢だとまだあがいてみたいんですよね」と言ってみると、「ああ、あがくのは、いいと思うね」と言っていた。意外な答えだった。おそらく2人とも何かしら共通のものに大して苛立っていたのだろう。同志として共闘できる感じが漂っていた。


宮永くんが下北沢に来るというので、駅前で合流し、みん亭でご飯を食べ、今成で飲む。ハシゴしたのに1人当たり2000円もいかなかった。なかなかリーズナブルに飲んだな。ゆっくり話せてよかった。永福町から月を見ながら歩いて帰る。Q