11/27 ソウル、クリウィム

『ソウル市民 昭和望郷編』。わたしは観られるのがこの日がラストチャンスだったので、あやうく見逃すところでした。前2作に比べるとガチャガチャと様々なものが複雑に入り込んでいて、スッキリ、とはいかないけれども、まるで篠崎家そのもののようにどんどんと増築されて出来上がっていったような今作の作りは、わたしとしては好みでもありました。そして前2作に漂っていた呑気な気配は薄まり、ひたひたと様々な政治的状況が迫り来る1929年、世界恐慌前夜のスリル。さらには「津軽シュウジ君」が話に登場するなど、贋作・日本文学史的な様相も。前2作と繋がる「人に挨拶するサル」のエピソードもあったりなんかして、とにかく心憎い作品でした。ちょっと今回の青年団「ソウル市民5部作」、相当良いのじゃないか……。個人的には、中村真生(ちょっと変なおばさん役)が去り際に言い放つ、10円50銭に関するエピソードに心を打たれました。残る2作も観たいと思います。


吉祥寺から井の頭線京王線世田谷線と乗り継いで、三軒茶屋シアタートラムでクリウィムバアニー『がムだムどムどム』。予想してた感じを遙かに超えて面白かった。遊覧型であること、インスタレーション的であることは、この公演にかぎらず最近の流行りではあるだろう。明らかに、いわゆる作品の鑑賞といったやり方から、その公演を体験するとゆう方向に、今の演劇はシフトしつつあるように感じる。

気になったのはやはりなんといっても音楽の使い方で、魔法少女まどか☆マギカの主題歌の繰り返しに象徴されるように、「少女」という世界に永遠に閉じ込められたループ感を醸し出す一方で、にもかかわらず、いやそれゆえにこそ、絶対実際にはループで終わらない(=生身の彼女たちはやがて歳をとる)といった事実が浮かび上がっているようで、なんかじわじわとやられた。あと、会場全体がシンメトリーではなく中心もなく、必ず死角を生み出している(途中までは)。その会場はまるでお菓子の家みたいになってて、甘ったる〜い匂いが漂い、なんだか変に落ち着かない、鼻血が出そうな半興奮状態にさせられた。やっぱりね、ちょっと映画『エコール』みたいでしたよ。

個人的には、期待の劇団Q主宰の市原佐都子がダンサーで出ていたのもなんか面白かった(いつも拗ねているように見えるのはデフォルトなのだとゆうことがよく分かりました。いやもちろん、劇作や演出をやるからには世界に対して何かしらのものがあるに違いないってことは分かっていましたが)。出色はロロによく出ている島田桃子。めちゃめちゃ可愛かった。「米炊き女」役(笑)だが、本当に妖精のようだった。とゆうかみなさんカワイイのですが、少し小太りでメガネをかけていた人、お茶目で楽しかったです。


終演後、今度は田園都市線井の頭線で再び吉祥寺へ舞い戻り。とある飲み会に顔を出して終電まで。愉快に飲みました。そして人生で初めて、とあるアイテムをもらいました。ありがとうございます。


ほうほう堂を観に行けなかったのが無念……。Q