『演劇最強論』刊行にあたって

徳永京子さんとの共著『演劇最強論』(飛鳥新社)がついに(やっと!)刊行されました。あやうくツチノコネッシーのような都市伝説の仲間入りをするところでした。出る出る詐欺、とかももう言われなくてすみます。

キュートな本になりました。内容ですが、いくつかの論考や、読み応えのある各作家のインタビューに加えて、小劇場マッピング、舞台写真、「本・映画・音楽」のベストを挙げていただくアンケートなど、様々な工夫を凝らしています。もちろん、現代演劇の魅力を紹介する本ではあるのですが、大げさにいうならば、現代の芸術・人間・世界の有り様を探索する本でもあるのかなと思っています。

当初の予定から1年越しの刊行になってしまい、お待たせしてしまったみなさま、最初の約束を果たせなくてごめんなさい。インタビューはほぼ1年前に収録したものなので、内容が古びているのではないか?、と危惧される声も当然あるかと思いますが、企画当初から、書籍である(つまり数年以上残る)ことを意識してつくったので、雑誌やウェブ媒体でのインタビューのように最新作について訊くことよりも、各作家の根幹となる思想的な部分に焦点を当てたつもりです。あらためて読み返してみても、自信をもって今リリースできる内容であると自負しています。また、この1年で起きためざましい変化については、論考のほうでも言及していますので、そちらもあわせてお読みいただけたら嬉しいです。

また、価格が当初予定から少しアップして2200円+税となってしまったこともお詫びします。内容面での変更として、例えば「カンゲキコトハジメ」的なコーナーが消滅しましたが、徳永京子さんによる素晴らしいショートショート(!)が掲載されていますので、観劇に馴染みがないという方はぜひそちらで劇場の興奮(?)を追体験していただけたらと思います。デートの際の参考になさってください。

共著(著者が2人)というスタイルも、この本の魅力のひとつかなと感じています。いろいろ隙間がありそうです。どういう読まれ方をするのか未知数で、とても楽しみです。よろしくお願いします。(藤原ちから)



演劇最強論

演劇最強論