4.『光のない。(プロローグ?)』(小沢剛)
――小沢さんの『光のない。』は観ましたか?
中村 私は舞台のボランティアだったのでゲネプロを観ました。ネタバレ状態で観てたのであまり作品としての感想は言えないけど、いろんなことを心配しました……(笑)。
――私はまず入って会場の様子を見た瞬間に、F/Tだからこのテキストを読むだけで終わるのもありうるな、と思ったんだよね(一同笑)。そしたらゴリラの着ぐるみが現れて、牛の死体を穴から引き出し始めたからびっくりしました。
杉本 吊り物を上げるのも少しヒヤッとしますよね。瓶もあったし、やる側は大変そう……(笑)。
中村 ボランティアでやったのは、最後のビニール袋を必死で出して行くくらいですね。
清水 ビニール袋?
杉本 大きいビニールシートの塊がたくさん置かれてて、その上にゴリラが寝るんですよ。
宮坂 ゴリラ、最後までずっといるんですよね。お客さんが出て行くときにも。
杉本 で、ロビーに出るとその袋が置いてある。
清水 入るときはなかったの?
杉本 ないですね。
宮坂 私も最初はテキストを読んで歩いて終わりかと思ったので、解釈しようと何度も読んでいました。そうすると他の観客たちの流れに遅れていきますよね。それでもマイペースに見ていたら、係の人にどんどん前に誘導されて……。ゴリラの時間がきて(一同笑)、ゴリラが近くに来てもリアクションせずにテキストを読んでたら、やっぱり誘導されるんですよ。自分のペースで観ているのに制限がかかる感じがちょっと不快でした。仕方ないんでしょうけど、あの不快さは作品と関係あるのかなと……。
――穴に落ちないようにあっちに移動してください、とスタッフに誘導されたのが私も引っかかっています。それも含めて作品として解釈すべきなのか。
宮坂 ゆっくり観る人を想定していなかったのか、想定した上だったのか……。
森 展示形式としか聞いてなかったんだけど、予約しても前情報は全くないの?
宮坂 ないです。席がないのも当日知らされて、荷物をクロークに預けて、歩いて観る。「展覧形式」のわりにちゃんと上演でしたよね。
――上演だったね。
杉本 失敗する?
――「上演は失敗する」(笑)
杉本 ちょっと失敗した?(笑)
宮坂 (笑)あれは……失敗なのか、演出なのか、ですね。
杉本 わざとではないような気がしたなあ。
中村 いやーわかんないです、私にも。そりゃそうですけど。
杉本 なんで不快に感じたんですかね。そもそも演劇は基本的に制約が多いじゃないですか。最後まで着席して観なきゃいけない、声を出しちゃいけない……。どの芸術表現もそうかもしれないけど、特に演劇を観るときは暗黙の了解でそういう制約を受け入れてますよね。小沢さんの『光のない。』で、どうしてそれが顕在化したのかが不思議です。美術館でも、前の人が出るまで入っちゃいけない形式等はあると思うんですよ。今回やだな、と思ったのはやっぱり演劇の上演だったからなのかな。「演劇上演」とする時には、美術と同じ方法で観客に接するのはやっぱり難しかったのかな……。
1.全体について(学生パス・運営など)
2.『石のような水』(松田正隆×松本雄吉)
3.『光のない。(プロローグ?)』(宮沢章夫)
4.『光のない。(プロローグ?)』(小沢剛)
5.『100%トーキョー』(NEXT)
6.『ガネーシャvs第三帝国』
7.字幕問題
8.「これから」について