5.『100%トーキョー』
――演劇かどうかという話では、『100%トーキョー』で出演者の一人が「これは演劇だと思いますか」と問いかけていたのが印象的でした。
中村 『100%トーキョー』は、私もブログキャンプで座談会をやりました。演出家のかたは、理想としてはリハーサルせず舞台上で偶然的に起こることを見せられたら一番良い、でもそれは不可能だから枠を作るという話をしてました。でも実際観ると、綺麗に整理されてる感じがしましたね。
――後ろに進行用の字幕がありましたよね。次は何の質問をする、何の動きをするって。
杉本 ある時とない時があるみたいです。どこまでホントかわからないけど(笑)。
福井 まったく偶然性の舞台だったんですか?
宮坂 たぶん偶然ではない……。全部の回でおなじ質問して、毎回おなじように動くだけ?
杉本 子どもの質問は違うらしいです。
宮坂 子どもはかわいかったけど、やっぱり統計から漏れる人はいるじゃないですか。ていうか気に食わなかったのは小学生、中学生、大学生がいるのに高校生がいないこと。これで100%の東京ではないだろって。
――私も、例えば引きこもりの人なんか出てないのに、と(笑)。
森 出演者はどう選ばれたの?
――手法としては最初の一人を決定したあと条件に合う人を芋づる式に紹介していく形で、どうしても間に合わなかったところがラジオやホームページ等で募集されたはずです。
宮坂 開始ギリギリまで65歳以上の方を募集してましたよね。
中村 そういう方法だから、出演者は舞台上に少なくとも一人は知人がいますよね。だからそこで嘘をつくのも想定してる、という話もしてました。
宮坂 最後、「今日嘘ついた人?」の質問にめっちゃ「はい」がいましたね。
杉本 リミニは、演劇を楽しむ意味ではよかったのかなと思ったんです。
宮坂 それ思いました。やってる人たち楽しそうだなと。
杉本 そう、だからそんなに差別的だ! 許さねえ! と思わなかったのは、舞台上の人が楽しそうだったからかもしれない。最高だったのは、みんなが「はい」「いいえ」に分かれるところで子どもが自由に真ん中に入っちゃうところ(笑)。
中村 でも最初はお母さんたちが抱っこして動いているのに、そういう質問になったら好きなように走り回らせてるんですよ。それも絶対狙ってると思ったら結構冷めちゃう部分も……。
森 たしかにアンケートが恣意的に操作されているのを不快に感じる人もいるかも。本来なら自分の意思で答えるものだから。
福井 例えば65歳以上は参加に応じないのが今年の日本人、という見方も出来たんじゃないかな……。もしかしたら、高校生は呼び掛けに応じなかったからいなかったのかもしれない。平均的に集めようとすること自体が恣意的で、答える人もいれば答えない人もいるのが普通の状態な気がします。
――むしろ統計では表しきれないのがわかった感じがしますね。
中村 それはあります。今まで考えたことはなかったけど考えてみれば当然なことがいろいろわかった気がします。
1.全体について(学生パス・運営など)
2.『石のような水』(松田正隆×松本雄吉)
3.『光のない。(プロローグ?)』(宮沢章夫)
4.『光のない。(プロローグ?)』(小沢剛)
5.『100%トーキョー』
6.『ガネーシャvs第三帝国』(NEXT)
7.字幕問題
8.「これから」について